脱走犯の街、尾道

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脱走犯の街、尾道

広島県の尾道市は、若者が集まっているという噂の街。
鹿野町とも、ドイツとも人が行き来している。
何年も何年も「良い場所だよ〜!」って話ばかり聞いてきた街。
そんな尾道に、ついに滞在することができた。

尾道には、脱走犯がいっぱいいた。
数ヶ月前、本当に刑務所からの脱走犯が来たけれど、それとは別のものから逃げて来た人たち。
ライプツィヒの日本の家でも、「僕たちも難民だよね」とよく話したけど、それと同じような感じ。
暴力に怯えているわけでも、法律を犯したわけでもない。
食事にも寝る場所にも困らない、恵まれている立場だ。
だからと言って、このままの生き方への疑問は強まるばかり。

一生懸命仕事して、結婚して家庭を持つのが正しいライフスタイルだという思う人が多い。
なぜそうしないのかと、善意から押し付けてくる人もいる。
人の生き方に気安く口を挟むのは、自覚のない暴力だと思う。
誰一人として向き合ってくれる仲間がいなければ、生きづらくてしょうがないだろう。
精神的な窮屈さだって、当たり前に命に関わる問題だ。
そんな時に、外部の価値観ではなくて、自分がどう思うかで行動している人たちに出会うと励みになる。

尾道には、よそ者を受け入れる寛容さがある。
爆心地から離れているとはいえ、広島は世界で初めて原爆を落とされた場所だ。
核の暴力を受けた街に、常識の暴力を受けた心の脱走犯が共存しているように思ったりする。
地元の人たちと謎の若者たちが、この街で調和している様子は大きな希望だ。
共通の話題がなくとも、言葉の端々だったり、身振りや佇まいから学ぶことは多い。
同じ空気を吸えてよかった。

自分には何ができるだろうか反芻する。
また行こう。