Hirofumi Miyauchi Exhibition (Part 2)


大仏

「死んだら何も残らない」という人が時々いる。
そういう人には「じゃあ、あなたが亡くなったら遺体もお墓もゴミとして処分しましょうか?」と言うと、ギョッとするか怒ると思う。
見えない存在に対して無自覚だからこそ、そういう反応になるのだと思う。

人は、不経済でも故人の想いを叶えようとしたりする。
そういう意味では、死者は現実に対して影響を与えている。
目に見えない死を思うことは、目に見える人生の心構えに通じると思う。

絵は、見えないものを見えるようにする。
作品(物質)という俗世の中に宿る、神聖さの探究だと信じています。

かもめ釣り

かもめを釣ろう
痛いのはかわいそうだから
尖った針は使わない
虫みたいな餌もつけない
空中にハートを垂らして
なんとなく集まってくるかもめを
ただ愛でている

大きな白い犬を飼っていた。
飼い始めた当初は、犬はどこまでいってもただの犬だと思っていた。
外で飼っていたのに、あまりに可愛くてだんだん家の中で飼うようになった。
犬は家族になった。
犬が病気になってからは、こまめに様子を伺い、トイレシートを替え、キャンプ用のカートに乗せて散歩した。
僕が犬の犬になった。
天国でも、仲間の犬とじゃれて暴れ回っていて欲しい。

体操

ドイツにいた頃、絵を描く前にラジオ体操をしていた。
寒い異国でも、ちょっと夏休みの気持ちになれる。
小学生の夏休みは、毎日が熱いばかりで何もなかった。
それが、どれほど美しい時間だったかと思う。

肩こりの自画像

僕はすぐに考えすぎて動けなくなる。
人間の思考は、言葉でできている。
自分の言葉の内側にいるだけでは、動けなくなる気持ちの解決は難しい。
だから、動くのだ。
動けない自分を絵に描いて、僅かばかりでも動くのだ。
鬱というのは、脳が停止命令を出し続けるエラーだと思う。
それでも呼吸は止まらないし、心臓は動き続ける。
頭よりも、体の方が賢い。
そう思って、聴診器で心臓の音を聞き続けた。

チタニウムホワイト

油絵の具の白には、色んな種類がある。
その中でもチタニウムホワイトは強い。
指で絵を描いていた頃、特にその強さがわかった。
他の色が乾く前に、その上から塗っても負けないくらい強い。

その代わり、混ぜた時に強すぎたりする。
そういう個性が、ちょっと人間みたい。

AMERICA

アメリカに行ったことはない。
元アメリカン・プロレスの大ファンとしては、興奮のエネルギーが充満しているイメージが強い。
でも、実際にこういうマッチョに会ったらどうしよう。
多分僕は、コーラみたいな弾けるパワーに圧倒されてしまう。
他を圧倒する興奮の勢いというのは、多分アメリカ建国の歴史に通じていると思う。
どうか、平和に向けて興奮して欲しいと思う。