家の修理をし、その日一日で使った工具を描き出した。
写実的な正確さではなく、工具の機能と手の記憶を頼りに描いた。
古代エジプトの壁画の人物をよく見ると、体は正面で顔は横向きに描かれている。
動物も、横や正面が混ざっているのにその特徴がしっかり描かれていて、今でも種が特定できるのだとか。
豊作や大漁を祈ったり、死後の世界の王に仕えるため、神々に特徴を伝える必要がある。
自分の中では、大工仕事も、絵を描くことも、お祈りも根っこは同じことをしている。
それらは、「見えること」「見えないものを見えるようにすること」「見えないこと」という違い。
物質の世界と魂の世界のどちらも大事にしたいと思う。
人間は片方だけでは生きることはできないから。
手触りの記憶が豊かなほど、キャンバスとの会話が弾むような気がする。
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サイズ:73x61cm
素材:キャンバスに木炭
制作年:2022年





