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青い薬箱

 

生きているのに死んだ気になる不思議。
死ななければ生きているという不思議。

外用薬の処方箋を頂いた。
困ったときには、青い薬箱を開けたらいい。
服用できるであろう揺れる言葉たちは、手の熱で溶けてしまいそうで気を付ける。

それは僕の外にあって、内側にないからいい。
いつでも人が写っている鏡に、なぜだか安心する感じと言えばいいのやら。
見えないのに、しかと「居る」。
そうして自分がここに居ることを思い出す。

丁寧な所作は茶道からか、崩す姿勢は落語からか、それとも生まれ持ってのものか。いや言い過ぎたな。笑
出されていない手紙を受け取った事にして、出すつもりのない手紙を書く。
しかと一方的なお礼の手紙を。

何もかもが勝手な妄想であれ、眠れない夜をそっとしまう楽しみができた嬉しさをここに。

(「水温集」という水に溶けてしまう詩集のお話)