鹿野のお堀の松の木が、本の表紙になった。
城跡には、昔2本の大きな黒松があった。
そのうち1本が、強風で倒れてしまった。
鹿野城主、亀井茲矩公逝去より丁度400年、2012年の事。
倒木は、町のお店の看板などとして大切に使用されている。
表紙のイメージは、黒松の看板の底面の写真を元にして制作した。
国土の7割が森林の日本では、森は日本の底面として根っこを支えてくれている。
この本のテーマは、森林の持続性と経済の関係。
林業に携わる方は、伐採量を抑えながら次の世代に森を繋いで来られた。
一時儲けるために一気に伐採してしまうと、何世代も続いた地道な努力が水の泡になってしまう。
伐採を闇雲に批判するのではなく、伐採させてしまう構造的な背景から解決の手がかりを探る。
書いた人は、社会学の先生である、すーさんこと大倉季久さん。
ドイツ・ライプツィヒの日本の家で1年間一緒に暮らした。
「ライプツィヒと鹿野町」、「日本の林業とお堀の松の木」の物語として。
すーさんの大切な本の表紙を飾らせていただく。
倒れた松の木も、営業を終える八百屋barも、最近この世を去った鹿野の人たちも、形を変えて生き続ける。