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まとまらない人を読んだ人④ シェアハウスとアキンド君

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僕は今、シェアハウスを作っている。名前は「ロクの家」。築50年の元旅館の建物をDIYで直しているのだけど、雨漏りが酷くて、白蟻に喰われてて、いろんな所がボロボロ。半年かかっても終ってない。嫌になったり諦めかけたり長く休んだりしながら、なんとかかんとか進んでいる。

台風では外壁が落っこちたけど、僕は激安で漆喰を作る方法を編み出してあるので、漆喰自体の金額は1300円くらいで済んだ。DIYをする人みんなに知って欲しいくらい。作り方はブログで公開しているし(こちら)、動画を作ってYoutubeにもアップしようと思っている。怪しいし慣れない事は怖いと思うので、気になる人は見にきて欲しい。一応、この方法で10年は持っているので大丈夫だと思うけどどうだかは知らない。日本はこれからどんどん空き家が増える。自分で見捨てられた空き家を直したら、家を買うお金の分働かなくて良くなる。

そして、このシェアハウスには共同アトリエと発表スペースがついている。20畳の大広間があるので、そこを共同アトリエにしようと思う。あとは展示スペースであり、上映スペースであり、色々実験的に使える一部屋を作ろうと思っている。8畳間くらいしか取れなそうだけど、天井から床まで真っ黒で、入り口は茶室のにじり口みたいなものも作ろうと考えている。体を使って入って、作品と向き合い、体を使って出る。向こう側の世界は帰ってくる所作も大事なのかなと、内田樹さんの本で、能のシテという役の話を読んでよりそう思った。思考の向こう側に触れて帰ってくる感じとも言えるかな。炬燵の中のヒーターの灯りみたいな感じかな。開放的な真っ白空間とか、全然違う風になるかもしれないけど。そして、そこにはリビングがあり、お風呂やトイレがあり、暮らしがある。美術館併設のカフェの超身近版。生活している人が優先だから、気に入らなければ悪いけど出て行ってもらう。笑。

ロクの家の「ロク」は、大家さんが飼っていた亡くなってしまった犬の名前。うちの愛犬とも仲が良かった黒い犬で、藪の中を走り回るのが大好きだった。「ロクの家」には、人間以外のものや死後の世界との繋がりという意味がある。住む人が考えなくても、名前が引っ張ってくれるんじゃないかな。死後世界や来世という発想は自殺に関係があるというから大外れではないと思う。困った時のセーフティーネット、安全地帯でもある。

この家の家賃は全部で3万円。全部で7部屋あって、1部屋は展示場、1部屋は倉庫兼遊びに来た人が泊まれるところ。5人住めるようになればいい。僕は不動産を直して儲ける商売をしたいとは思わない。お客様とお店の関係ではできない時空間に興味がある。赤字にならないようにして水道光熱費を込みにして、家賃は2万円あれば余裕で住めると思う。だけど、僕は飽きるまで家賃をタダでやってみたい。水道光熱費を貰うだけでできないか考えている。できるかわからないけど興味がある。

ちなみに僕はこれから社会的にはニートになる予定。会社を辞めるけど、いわゆる労働市場的に働く気はない。そして、自分の体に良いことをする。お金にはなるんだろうけど、地球は誰のものでもないと思うと、不動産のシステムがちゃんと理解できない。だから僕にできる範囲(&飽きない範囲)でやってみたい。

坂口恭平さんと同じく、僕にとっても自殺は大きなテーマだけど、僕は電話が苦手だ。直接人と会って話したい。体を持って生きている感じが欲しいのかなぁ。熊本や尾道では当たり前にできても、千葉の銚子では、散歩をしながら抽象的な事柄について話す機会はとてもとても限られている。アトリエや展示スペースがあるからと言って、アーティスト専用なんて言う気は全然ない。それはなんだか気持ち悪い。もやもやしてて何かを作りたい。作ることで死なないで済む人が生きられる場所になったらいいし、作らなくても興味がある人は歓迎。興味がない人は来ないと思う。発表場所は家の中にある。詩でも絵でも、映像でも、ダンスでも、発表し放題。音楽は近所に迷惑にならない範囲でできないかと考えている。作る事見せることで人が元気になるなら、それはある意味学校や病院のようだとも思う。

銚子は、財政破綻寸前の港町だ。文化や歴史、街並みを大事にしようなんて考えている人は少ない。お金と一瞬の盛り上がりが大事にされるのは、漁業の歴史の力だと思う。僕は別の街に行ったほうが楽だったりするけど、このどうしようもない街の気候、風、食べ物、そして人が好きだったりする。だめならだめでもいい。謎の場所を作ってみようと思う。僕も人に助けてもらって生かしてもらってきた。だから、このくらいやっても普通なのだけど、どうやってお金にしたらいいのかわからない。展示で売れたら何%とかにすればいいのかな。それは、これから考える。アキンド君、助けてー。